BSでエサ・ペッカ・サロネン指揮ロサンゼルスフィルの演奏会を見た。動いているサロネンを見るのは2度目だ。15年くらい前、サントリーホールでサロネン+ロスフィルのシベリウスの2番を聞いた。シベリウスの2番は好きな曲だ。その日までボルボのCMで使われたこともある4楽章冒頭の有名なメロディを待ち望むような聴き方をしていた。1~3楽章もそれなりにいいのだが、早く4楽章にならないかな~・・といった聴き方だ。しかし、その日のコンサートは違った。サントリーホールは観客席がオーケストラを囲むような配置になっているのだが、私はステージに向かって右側の席の前のほう(コントラバスの後ろ)で聞いていた。普通の席では指揮者の背中しか見えないが、この席は指揮者の表情までよく見える。私は音楽について特に詳しいという訳ではないが演奏者や指揮者の気合いなどはよくわかるつもりだ。サロネンは私とほぼ同年代で当時35歳くらいだったと思う。こんなに若い指揮者はどうなのかなあと思っていたら、圧倒的な気迫でオーケストラをぐいぐいと引っ張っているような演奏だった。1~3楽章はあっという間に過ぎてしまい、4楽章のあのメロディーが鳴りだした。今までならそこで満足しているところだが、この日は4楽章のあのメロディーが鳴りだしたとたん、「えっ、もう4楽章・・まだずっと聞いていたい・・終わらないでくれ~」と思った。あのメロディーは私にとってフィナーレだったのだが,この日はまるで別れや終わりの予告のように感じた。終わって欲しくなかった。それまでいろんな演奏会に行ったが、こんな気持ちになったのはこの日が初めてだった。それからはこの曲を聴くたびにそのことを思い出す。また、4楽章だけでなく1~3楽章も素晴らしいということがよくわかった。
そのコンサートの終了後、次の日のチケットを購入した。演目は「オーケストラのための協奏曲」とベートーベンの7番だった。かなり高いA席しかなかったのだが、その日の演奏がとても素晴らしいものだったので躊躇なく購入した。
次の日の「オケコン」も素晴らしいできだった。後ろの席の女の子が「すごいよーすごいよー」といいながら泣いていた。 わたしも同感だった。その女の子はかなり興奮していたが、「でもなんで次の曲が7番なん?」といったのに妙に共感したのを覚えている。