まだ明るいうちから組み立てて月を見ました。EQ6PROは微動の速度を8段階に切り替えられるのですが、赤経赤緯ともすべての速度でタイムラグなしに小気味よく動きます。動きはとてもいいです。
暗くなってから極軸を合わせてアライメントを行いました。説明書はざっと読んだだけですが、これを見ながらでなくても直感的に操作することができました。最初に3スターアライメントを行っていくつかの星雲星団を見てみたのですが、導入精度は非常に高く、すばやく30’程度の視野のほぼ中心に導入することができました。思ってた以上に高性能な赤道儀だと感じました。
次に赤道儀をパソコンにつなぎ、冷却CCDを装着して普段GPDでやっていることを試してみました。ステラナビゲータとTheSky6で赤道儀をリモートコントロールしてみました。ステラナビゲータにはケンコーのEQ6PROそのものの設定がありますが、TheSky6では「NexStar GPS by Celestron International」に設定します。
GPDではVC200L直焦点(1800mm)で30秒のノータッチガイドが可能でしたが、45秒露出するとかなりの確率で失敗していました。EQ6PROでは60秒のノータッチガイドが可能でした。75秒となるとほとんどが失敗でした。雑誌などではGPDとEQ6PROのピリオディックモーションは、ほぼ同じかEQ6PROのほうがかなり悪いということでしたが、今回の実験ではEQ6PROのほうが倍くらい精度がいいということになりました。搭載重量の余裕の差がでたのかもしれません。1800mmを1分もノータッチガイドできるのは驚異的なことだと思います。
M13 VC200L直焦点 ST2000XM(低解像度) EQ6PRO 60秒ノータッチガイド
撮影に関しては文句なしの性能であることがわかりました。問題はパソコンによるリモートコントロールです。アライメントを行ったあと、パソコンに接続してリモートコントロールを行ったのですが、導入精度も非常に高く、導入後の微動もきちんと行えました。GPDでは赤緯軸の微動の動きが悪く、何度ボタンを押しても動き出さないことが多かったのですが、EQ6PROではそんなことはありません。両軸ともきちんと素早く動いてくれました。
何度も導入を繰り返していくと少しずつずれがでてくるのですが、望遠鏡のそばで行っている時にはハンドコントローラーのESCキーを2秒以上長押しすると、その時導入している天体を基準にアライメント(同期)をしなおすことができます。しかし、パソコンではこの操作(同期)はできません。私は短い露出で一晩に100枚以上の撮影を行うので、これは困ります。時々外に出てハンドコントローラーを操作すればよいのでしょうが、なぜかESCキーを押しても同期の動作は行われませんでした。これは操作方法をよく理解していないためかもしれませんが、いずれにしても手元ですべての操作ができないのはとても困ります。一晩使用しただけなので、もしかしたらうまい解決方法があるのかもしれませんが、タカハシやビクセンの赤道儀ではパソコンで同期ができるので、私の場合はそちらを選択するほうがいいのではないかと思いました。
一晩使ってみただけですが、EQ6PRO赤道儀は実売で17万円程度でありながら、かなり大型で搭載能力が高く、追尾精度や導入精度も非常に良い優秀な赤道儀であることがわかりました。パソコンとのリンクの点で若干の不利があるものの望遠鏡のそばで操作を行うのであれば何の問題もないでしょう。
また、ケンコーの福岡の営業所に電話して尋ねてみたのですが、もし故障等があればそこに持って行けば受け付けてくれるということなので、非常に重い赤道儀を梱包して送る必要もなく、長期的にも安心して使える赤道儀だと思います。
ただ、TさんのEQ6PROは初期不良で2度ほど交換しているそうです。こういった不安もありますが、自分である程度調整ができる人にとっては非常にCPの高い赤道儀だと思います。