ガウロとは一見ただの大トカゲである。体長は大きいもので2メートル程度。外国からの輸入木材にまぎれて日本に上陸したらしい。地下鉄の構内でドブネズミなどを食べて生活している。カメレオンのように体の色を変えたりはできないのだが、体表が異常にネバネバしており、木の葉や泥などを体に貼り付けて外敵の目から逃れている。ジャングルにいるときは木や岩にペタリと張り付いてじっとしている目立たないトカゲであった。最初に発見されたのは丸ノ内線中野坂上駅であったが、体表の粘着力を利用して地下鉄の底に張り付いて移動するようになり、またたくまに都内の地下鉄全駅で見られるようになった。夢でみたのはここまでである。
その後ガウロがどうなったのか考えてみた。ガウロは恐らく地上の路線にも進出しただろう。さらにトラックやバスなどを介して全国いたるところに生息しているに違いない。道路では振動で振り落とされたガウロに驚いたドライバーがハンドル操作をあやまり事故を起こすことが頻繁に起きるようになり社会問題となるだろう。自動車学校では教習車に乗る時、車の底を覗いて「オイル漏れなし。ガウロなし」と言っていることだろう。
あなたも車に乗るときは変な生き物がはりついていないか確かめてください。
おしまい